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2014年10月に、およそ2年ぶりにアップデートされたMac mini。ディスコンの噂もありながら、Mac Pro以外のモニタ選択ができる唯一のMacデスクトップとして、ようやく、けれど意外なほどあっさりと、去るAppleスペシャルイベントで発表されました。

以前のエントリーでも書きましたが、自宅ファイルサーバとして使っていた旧型(Core2 Duo時代)のMac miniを売り払ってしまった私は、新型Mac miniへの買い替えを検討していたので、そのまま発売されたMac mini(Late 2014)を購入しました。一部カスタマイズして、i7-3.0GHzプロセッサ(デュアルコア)、メモリ8GB、256GB-SSDという仕様構成です。

さて、喜んで購入したものの、その後ネット上であまり嬉しくない情報が行き交う事になります。それは、Mac mini Late 2012のクアッドコアモデルと比較して、Mac mini Late 2014モデルは「マルチコア性能が70〜80%低下している可能性がある」というもの。そう! Mac mini Late 2014ではカスタマイズの選択肢として「クアッドコア」が無くなってしまったため、コア数における単純なクロック合計数で大きく下回る事になりました。ものすごく簡単に書くと・・・

Mac mini(Late 2012)i7-2.6GHzモデル
[ 2.6GHz × 4コア = 10.4GHz ]

Mac mini(Late 2014)i7-3.0GHzモデル
[ 3.0GHz × 2コア = 6.0GHz ]

という事になります。シングルコアでは2.6から3.0へ約15%の速度向上がありますが、コア数が絶対的に足りない! 結果、マルチコアでの総力は4.4GHzもの差があり、実際マルチコアのベンチマーク(Geekbench)では、同上のLate 2012が「12703」に対し、Late 2014は「7093」と大きく下回っています・・・。うう、悲しい。(マルチコアベンチマークでは、Late 2014はLate 2012はおろか、Mid 2011の一部機種にさえ勝ててません)

このような状況から、アップルはMac miniを見捨てたとか、コスト優先で敢えてダウングレードしたとか、とにかくLate 2014は買いではない、という方向にどんどん話が流れていき、Late 2012の人気が高まって、中古や在庫新古のLate 2012の価格が高騰したりして、私はなんだかハズレくじを引いたような気持ちになってしまいました。

しかし! 本当にMac mini Late 2014はハズレなのでしょうか。ベンチマークを見ると、確かにコアの数だけの差が正直に出ていて、物理的には2コアと4コアでは、これはもうどうしようもない、という事はわかります。でも、MacやPCは、プロセッサコアだけで動いている訳ではありません! そうですとも、マザーボードがあり、メモリがあり、ドライブがあります。総合的に見てどうなのか、期待を込めて見ていきましょう。

まず、マザーボードから。これは、採用しているアーキテクチャを比較しましょう。

Mac mini Late 2012[Ivy Bridge]マイクロアーキテクチャ
Mac mini Late 2014[Haswell]マイクロアーキテクチャ

Haswell マイクロアーキテクチャは、省電力技術等の向上により Ivy Bridge マイクロアーキテクチャと同じクロック数で比べた場合、10%以上の速度向上があると言われています。やった! ここで、約10%はコアの差を埋められますね。

続いてメモリ。悲しい事実として、Late 2014はメモリが直付けのため、交換・増設ができません。仕事として使うなら16GB欲しいところですが、普通に使う分には8GBで十分です。動作クロックもLate 2012は同じく1600 MHzですので、ここは同等という事で。

ドライブはどうでしょうか。私のLate 2014は256GBのSSDにカスタマイズしました。対抗馬のLate 2012にも、カスタマイズオプションとして当時256GBのSSDが用意されていましたし、例えHDDモデルを買ったとしても、後からSSDドライブに換装すれば条件は同じかと思います。さて、どちらも256GBのSSD。しかし、Mactrackerでドライブ構成を参照していたら、SSDの表記が異なる事に気が付きました。Late 2012は「solid-state drive」とSSDをそのまま表記するのに対して、Late 2014では「flash storage」と表記されます。あっ、そういえばそうだった! と思い出したのが、SSDの形状です。Mac mini Late 2012では、SSDはドライブ形状のため「SATA」接続ですが、Late 2014はメモリチップ形状による「PCIe」接続にアップグレードされています。これは、前出のHaswell アーキクテチャの恩恵と思います。

SATA方式は、従来HDドライブを接続してきた定番の接続インターフェースですね。転送速度は最大6Gbps、つまり「600MB/s」がMAXです。これに対してPCIeですが、今回Late 2014のPCIeを調べてみると、x2と表記されていますので、PCI Express x2(Gen2)と思われます。こちらの転送速度は8Gbps、つまり「1GB/s」となります。搭載するSSDにもよると思いますが、最近のSSDは600MB/sを超えるものも多くなってきました。折角高速なSSDを付けても、Late 2012では本領発揮できず頭打ちになる場合がある、と考えた方がよさそうです。今後、Mac miniでSSDを使っていくとしたら、Late 2014以降を選ぶべきと思います。ちなみに、私のLate 2014のディスクスピードを計測(Blackimagedesign)した結果、書き込み670MB/s、読み込み718MB/sとなりました。結果として、Late 2012の「600MB/s」に対してLate 2014の「1GB/s」から、約1.6倍速い、と考えても良いかな、と思いました。

結論として・・・

最新のアーキテクチャと高速PCIe接続の恩恵で、実作業においてはコア数減による能力差がストレートには出ないという事が解ると思います。また、グラフィック性能も向上しているので、計算だけ速くても表示が間に合わなければ体感として遅いと感じる事も、Late 2012と比べて少なくなります。さて、ここまでの数値を勝手な期待で、強引且つ乱暴に計算すると、

6.0GHz × 1.1(Haswell/約10%向上) × 1.6(PCIe/約1.6倍速い) = 10.56GHz

やったー! Late 2012の最速値を超えました!!(笑)
って、実際全てがこんな事(動画変換など、プロセッサ命な作業ではLate 2012 Quadが圧倒的に有利)にはなりませんが、ディスクアクセスが発生する作業なら、あり得る数値です。というわけで、Late 2014を購入した方で残念がっている方がいらしたら、少しでも励みになればと思います。ちなみ私は満足しています。とても速いし、安定してます。

そして、もう1つ。

Mac mini(Late 2012)を購入された皆さん、2012年当時から使われている先人の皆さんの情報はしっかり参照していただいているでしょうか? Late 2012のQuadモデルは当時から「コアの仕様は機体から見てオーバースペック」とその発熱が心配され、実際にトラブルも多々起きている機体です。来夏が訪れる前に、Late 2012向けの冷却アクサセリも購入される事を強くお奨めします。どんなに速くても、熱でダウンされては身もフタもありません。

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